以前、ある有料老人ホームで看護師の採用人事を担当していたことがあります。その施設では、医療ニーズが高い方や困難事例の方の受け入れを積極的に行っていたこともあり、他の施設に比べ業務は重く、離職率が非常に高い施設でした。
人材紹介会社に職員紹介の依頼をしても、希望する人材は少なく、入職に至ってもすぐに離職してしまう状況でした。また、人材紹介会社の採用は、直接応募で入職した方に比べ非常に離職率が高く、紹介での入職に頼れば頼るほど、採用コストが増大し問題となっていました。
これからは、少子化と高齢化の相乗効果で採用需要がひっ迫することが予想されています。コロナの影響で一時的に増えた失業者が、無資格・未経験・高年齢でも採用されやすい介護業界に流れたと言われています。しかし、コロナが重症化リスクが低くなったおかげで、介護業界へ定着しなかった方が元の業種へ戻り、介護職の総数が減ることが予想されています。
更に、その需要ひっ迫を受けて、人材紹介会社が高条件を謳い文句に転職を煽っている状況があります。
特に、最近目立つようになってきた施設職員によるトラブル。人員不足が深刻化しすぎて、介護職に就くための適性を後回しにした採用が原因となっているのではと懸念されます。そのため、介護職員の安定確保は、急務だと考えています。
外国人技能実習生導入は、人員確保の最期の砦として、特に道外の介護分野では、なくてはならない存在となっています。道内では、農業や水産加工などでは広く導入されていますが、介護分野はまだまだの状況です。
採用コストの増大は、職員の給与水準を下げ、更なる人員確保を難しくさせます。一度その負のスパイラルへ突入すると抜けることは困難となることが予想されます。
入居される方の介護環境を守るには、職員の働く環境を守ることも非常に重要だと考えています。今後の人員不足に対応する備えとしてメリット、デメリット含め検討していただければと思います。
人員不足 負のスパイラルの図
人員不足解消 正のスパイラルの図
２０２２年からは、約８００万人と言われる団塊の世代の方たちが７５歳以上の後期高齢者へと突入し要介護者が急増すると言われています。それを見据え、４年前から介護分野でも外国人技能実習生の受け入れが厚労省で認可されました。これから深刻化すると考えられている介護職員不足に対応すべく、札幌市内でも大手の介護施設や病院グループでは、受け入れがすでに開始されています。しかしながら、外国人技能実習生の受け入れには、越えなければならないハードルがいくつも存在し、環境が整うまで導入を見合わせている施設も少なくありません。
外国人技能実習生制度導入への障害として言われている二つのことがあります。第一には日本語の習得があります。ほかの職種に比べてコミュニケーションを多くとらなければならない介護という仕事。さらに、一般的な単語に加えて専門用語を理解する能力が求められます。第二に「住む場所」の問題です。住む場所を職場が提供又は、サポートする必要がありますが、それを確保できるのかという問題です。その他の問題も多く存在し、まだ早いのではとの意見が聞かれます。
始まったばかりの介護分野での受け入れですので、受け入れにはしっかりとしたサポートが必要です。他の分野と違い、コミュニケーション能力や医療・介護の専門用語をマスターすること、世界的にもレベルが高いと言われる日本の接遇の習得には、しっかりとしたサポートが必要です。介護分野に関しては特にサポートの厚い監理団体を選ぶことが成功のカギになります。
一口に外国人技能実習生と言っても、どのこの国からの受け入れかも重要になってきます。介護分野において非常に相性が良いとされ、今注目を集めているのがミャンマーからの実習生受け入れです。ミャンマーと言えば、近年起きたクーデターを思い浮かべる方もいらしゃるかもしれません。現在は、国境封鎖などの状況になっておらず、クーデター前と変わらず、安定しているというのが現状です。そのため技能実習生の受け入れには大きな影響は出ていません。
ミャンマーの技能実習生が、他の国に比べて注目されているには大きく２つの理由があり、その一つが言語の習得が早いということが挙げられます。ミャンマーの公用語であるビルマ語は、日本語と文法が非常に近く、主語・述語の並びが同じで、単語をそのまま日本語に置き換える事で翻訳することができるという特徴があります。そのため、実際日本語を学んでいるミャンマーの学生は、日本語の習得が早いという結果が出ています。実習生の受け入れでネックになる言葉の習得が、比較的容易というのは、他の国からの受け入れに比べ、非常にアドバンテージが高いと言えます。
ミャンマーの技能実習生導入が注目される二つ目は、その素晴らしい国民性にあります。敬虔な仏教徒が多く、輪廻転生を信じ、五戒を守るよう子供の頃から教えられています。そのため、目上の人を敬う心が強く、技能実習では介護分野に人気があります。介護に対しては非常に適正があり、ミャンマーの技能実習生が期待される点です。
外国人技能実習生に対して、住宅確保や住宅探し、防寒着の確保のお手伝いなどを予定しています。監理団体と共同して、書類作成や申請等、お手伝いできる部分を広げていきたいと考えています。お困りの部分があれば、是非ご相談ください。
